日本語の魅力の一つに、発音が似ている言葉が異なる意味や書き方を持つことがあります。
「しづらい」と「しずらい」はよく混同される表現です。
日常会話でよく使われる言葉ですが、実は一方だけが正式な表現で、もう一方は間違いです。
この記事では、これらの言葉の違いと、正しい表現はどちらかを解説します。
社会生活でこの違いを理解しておくと役立つでしょう。
「しづらい」と「しずらい」正しいのはどちら?
この混乱を解決するために、まずはどちらが正しいかを明らかにしましょう。
答えは「しづらい」が正しいです。
実際「しずらい」という表現は本来の日本語には存在しません。
「しづらい」は「する」という動詞の連用形と「つらい(辛い)」という形容詞が組み合わさった言葉で、何かをすることが困難だという意味を持ちます。
例えば、広辞苑では「つらい」という言葉の説明の中で、動詞の連用形と組み合わせた際に「その行為が難しい」という意味になることが述べられています。
一部の日本語辞典には、間違い表現として「しずらい」という言葉が載っていました。
そこには「しずらい」ではなく「しづらい」と表記すべき言い方と書いています。
この記事では、なぜ「しずらい」と誤って使われることがあるのか、その理由について考えてみます。
なぜ「しずらい」と誤って使われるのか
「しずらい」という言葉が頻繁に使われる背景には、ある誤解が隠れています。
口頭で話されるとき、「しづらい」と「しずらい」は同じ発音なので、区別が難しいのです。
「づ」と「ず」の音が同じだからですね。
実際「〇〇しづらい」というフレーズを耳にした時、多くの人は自然と「ず」という音を連想します。
その結果、SNSやインターネットで文章を書く際、本来「づらい」と表記すべきところを無意識のうちに「ずらい」と書いてしまうケースがあります。
このような現象は、発音と書き言葉の違いに起因していると言えます。
「しずらい」の誤用と現代仮名遣いの誤解
もうひとつ、「しずらい」という言葉の誤用は、現代仮名遣いにおける「ず」と「づ」の使い分けの誤解から生じているかもしれません。
現代仮名遣いは、現代日本語の口語を仮名で書く際の規則で、1986年に確立されました。
この規則では、原則として「ぢ」と「づ」を「じ」と「ず」に置き換えることになっています。
これは規則の一部に過ぎませんが、例えば、以下のような言葉があります。
・「ふぢの花」は「ふじの花」に変わりました。
・「はづかし」は「はずかし」になりました。
・「いなづま」は「いなずま」に変換されました。
・「ぢめん」は「じめん」となりました。
ただし、この規則には例外もあります。
同じ音が続く場合や、二つの言葉が組み合わさった連語では「ず」ではなく「づ」が使われるのです。
以下に例外の例を示します。
例外1(同じ音が連続する場合)
・「つづく」
・「ちぢむ」
例外2(二つの言葉が結合している連語の場合)
・「し・づらい」
・「はな・ぢ」
「しづらい」は、「する」と「つらい」が組み合わさった連語であり、この例外に当てはまります。
したがって、「しずらい」ではなく「しづらい」が正しい表記となります。
「しづらい」の例文
「しづらい」という表現を用いた例文を紹介します。
- 彼は話しづらいオーラが出ている
- 彼の話は理解しづらい
- この部屋はうるさくて勉強しづらい環境だ
「~づらい」という表現も、いくつか紹介しますね。
- このサンドイッチは具が多すぎて食べづらい
- この靴はお気に入りだけど歩きづらい
- この服はすごくオシャレだけど動きづらい
- 老眼だから小さい字が読みづらい
「しづらい」と「しにくい」の違いはあるのか
日本語において「しづらい」と「しにくい」は非常に似通った表現です。
これら二つの言葉の違いを見ていきましょう。
実際のところ、「しづらい」と「しにくい」には、明確な意味の差異はほとんど存在しません。
どちらも同様の状況を示す際に使用されることが多いです。
広辞苑によれば、「しにくい」の定義は「することが難しい、やりにくい」となっています。
これに対して「しづらい」も「その動作をするのが難儀である、困難である」と説明されているため、両者の意味は大きく変わりません。
例えば、以前紹介した例文で「しづらい」と「しにくい」を交換しても、文章の意味はほとんど変わらないことが理解できます。
まとめ
「しづらい」と「しずらい」の正しい使い方を検証してみました。
その結果「しづらい」が正しい表現であることが明らかになりました。
一方で「しずらい」という表記は間違いであることが判明しました。
「しづらい」は「する」という動詞の連用形と「つらい(辛い)」という接尾語が組み合わさってできた言葉です。
この正しい用法を理解した上で、今後何かを伝えたり、書いたりする際には、この表現を適切に使いましょう。
正確な言葉遣いは、思わぬところで良い印象を与えることがあります。